湿疹(皮膚炎)は、体のさまざまな部位に現れる可能性のある皮膚疾患です。ワキにも炎症や刺激が生じることがあり、それによってかゆみや赤い斑点が引き起こされることもあります。では、ワキの湿疹を和らげるには、どのような方法があるのでしょうか?

ワキの湿疹:症状と原因は?
ワキは体の中でも特にデリケートで刺激を受けやすい部分です。腕の動きや衣服との接触により、日常的に多くの摩擦が生じています。また、ワキには発汗をつかさどる多くの汗腺が存在しており、これが汗の分泌を引き起こします。悪臭を避けるために、多くの人がデオドラントや制汗剤を使用しますが、これらの製品は時に刺激が強いことがあります。さらに、ワキは頻繁に剃毛や脱毛される部位であり、それにより皮膚に微細な傷ができやすく、刺激を受けやすくなります。
これらのさまざまな要因により、ワキは炎症や湿疹が起こりやすい部位です。この皮膚炎は、かゆみ、赤み、浸出液、場合によっては小さな水ぶくれを伴います。また、湿疹のある部位は非常に乾燥し(乾皮症)、暑さや汗が症状をさらに悪化させることがあります。ワキに現れる湿疹には、主に2つのタイプがあります。
アトピー性皮膚炎
このタイプの湿疹は、皮膚バリアの異常と、環境中の一般的なアレルゲンに対する免疫反応が特徴です。いくつかの研究では、フィラグリンや角質層の他のタンパク質を生成する遺伝子に異常があることが指摘されています。また、アトピー性皮膚炎の子どものうち約50〜70%が、第一度近親者(親など)に同じ疾患の既往があることがわかっており、遺伝的要因が関係していることが示されています。
接触皮膚炎
アレルゲンとの接触によって引き起こされる湿疹であり、ワキに現れることがあります。この皮膚疾患は、特定のアレルゲンに対する反応であり、遺伝性やアトピー体質とは関係がありません。ワキの接触皮膚炎の主な原因としては、デオドラントや制汗剤の使用が挙げられます。また、除毛クリームもこのような皮膚反応を引き起こすことがあります。
ワキに湿疹ができたらどうすればいい?
ワキに湿疹ができた場合、まず最初にすべきことは皮膚科・アレルギー科の専門医に相談することです。医師は、あなたの湿疹がアトピー性か接触性かを判断してくれます。接触皮膚炎の場合は、原因となる製品を特定するためにパッチテストなどの一連のアレルギーテストが行われます。原因となる製品を排除すれば、症状はおおよそ2週間ほどで消失します。アトピー性皮膚炎の場合は、日常生活の中で再発を防ぐための対策を継続的に行う必要があります。
症状が出始めたらすぐに、医師から処方されるステロイド外用薬を塗ることで、皮膚を落ち着かせ、強いかゆみを防ぐことができます。これらの薬にはコルチゾンが含まれており、抗炎症作用があります。加えて、保湿剤を使用してワキを毎日保湿することで、皮膚を柔らかく保ち、アトピー性湿疹で弱くなった皮膚のバリア機能を強化することができます。保湿剤は、脂質が多く濃厚なテクスチャーのものがおすすめです。
さらに、自然療法としてかゆみを和らげるための方法もあります。冷湿布や温泉水スプレー、あるいはティーツリーオイル、真正ラベンダー、ローマンカモミールなどの精油をワキに使用することが効果的です。また、摩擦を減らすために、腕まわりがきつすぎる衣服は避けましょう。香料入りのデオドラントはアレルゲンとなることが多いため、無香料のものを使用するのが望ましいです。
参照
GOLDENBERG G. & al. Eczema. The Mount Sinai Journal of Medicine (2011).
BORRADORI L. & al. Dermatologie et infections sexuellement transmissibles. Elsevier Masson (2017).
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