寒くて乾燥した空気は季節の変わり目にやってきて、肌にとっては刺激が強く、様々な影響を与えることがあります。乾燥して唇がひび割れてしまったり、肌が荒れてしまったり、さらに冬の間は顔が赤くなることもよくあります。でも、なぜ肌が赤くなるのでしょうか?その理由について詳しく見ていきましょう。

なぜ寒さで顔が赤くなる?
なぜ冬に顔が赤くなる?
冬になると、特に手指や耳、鼻などの体の末端部分に赤みが出やすくなります。これらの赤みは、冬の寒さと乾燥した風が原因で、肌のバリアが乱れるために起こります。実際、研究によると、季節の変わり目には角質層内のセラミド、コレステロール、その他の脂質が約40%減少するとされています。このため、角質層は本来の保護機能を十分に果たせなくなり、肌の乾燥や水分の損失が増加します。
冬の肌は特に敏感になり、外的な刺激やアレルゲンにも反応しやすくなります。その結果、軽い炎症が引き起こされます。この炎症によって、炎症性サイトカインであるインターロイキン1-α(IL-1α)やコルチゾール、そして皮膚のマスト細胞(肥満細胞)の数が増加します。これらの化学物質が分泌されることで、肌に赤みが生じることになります。
また、冬に赤みが出る理由には血行の変化もあります。気温が下がると、肌の表面に近い血管が収縮します。この現象は体が熱を逃がさないようにするための生理的な反応で、血液の流れを減らすことで体温を36.6°Cに保ち(恒常性)、低体温症を防ごうとします。
しかし、冬は室内と外の温度差が大きく、急激な温度変化を繰り返すことがよくあります。このような環境の変化が血管の収縮と拡張を引き起こし、その結果、毛細血管が広がり血流が増すことになります。これが顔の赤みとして目に見える形で現れるのです。
冬の赤み:どう防ぐ?
冬の寒さによる肌の赤みを予防・緩和するには、スキンケアの見直しが大切です。肌をしっかり守るために、日々のケアを冬仕様に調整しましょう。
1. シャワー習慣を見直す
寒さで敏感になった肌をやさしく洗うには、油分を含むバームタイプやオイルタイプのクレンジング剤、クリーミーなテクスチャーのミルククレンザーの使用がおすすめです。
赤みが気になる方は、保湿成分(グリセリン、アロエベラなど)や肌を落ち着かせる成分(ビサボロール、カレンデュラのオイル抽出物など)が配合されたスキンケア製品を選びましょう。また、シャワーの時間を短くし、お湯の温度も熱すぎず快適な温かさに抑えることも重要です。
2. 肌の保湿は常に意識して
季節を問わず、肌のうるおいを保つことが大切ですが、特に冬は乾燥と赤みに悩まされやすいため、念入りな保湿ケアが必要です。
アプリコットオイル、カメリナオイル、ベニバナオイルなどの植物性オイルには、肌を栄養補給・保護・再生する効果があり、バリア機能や皮脂膜をサポートしてくれます。必要に応じて、普段の保湿クリームをよりリッチなテクスチャーのものに変えるのも一つの手です。
3. 冬でも紫外線対策を忘れずに
冬は太陽の存在が薄れがちですが、紫外線(UV)は雲や窓ガラスを通過して肌に届きます。特に雪が積もっている場所やスキー場などの高地では、雪の反射によって紫外線の影響が強くなります。肌の刺激や赤みを防ぐためにも、日焼け止めを外出前にしっかりと塗りましょう。
4. 赤みが気になるときはコントロールカラーを
もし冬の赤みが気になる場合は、グリーン系のコントロールカラー(補正コンシーラー)を使うのも効果的です。緑は赤の補色なので、重ねることで赤みを目立たなくします。朝のスキンケア後に数滴塗るだけで、そのままでも、色付きの美容液やファンデーションと組み合わせて使うこともできます。
参考文献
GALL Y. & al. Seasonal variability in the biophysical properties of stratum corneum from different anatomical sites. Skin Research and Technology (2000).
ROGIERS V. & al. Seasonal effects on the nasolabial skin condition. Skin Pharmacology and Physiology (2009).
PIOT B. & al. Influence of season on some skin properties: winter vs. summer, as experienced by 354 Shanghaiese women of various ages. International Journal of Cosmetic Science (2011).
肌タイプ診断
自分の肌タイプと
お肌に合ったケアを調べましょう。