Eczéma et stress.

ストレスとアトピーは関係がある?

アトピー性皮膚炎は皮膚の炎症であり、身体的な影響だけでなく、精神的な影響ももたらします。症状を悪化させる要因は複数ありますが、そのひとつにストレスが挙げられます。詳しく見ていきましょう。

ストレスによるアトピーの悪化

ストレスがアトピー性皮膚炎に与える影響については、まだ完全には解明されていません。ただし、いくつかの研究により、ストレスとアトピーの間に関係があることは確認されています。この分野にはさらなる研究の余地があります。

また、症状にはいくつかの種類があり、ストレスがより大きく関与しているタイプもあります。現時点では、ストレスは湿疹の「引き金」とは言えませんが、「悪化させる要因」とされています。

阪神・淡路大震災後の調査

ある調査では、阪神・淡路大震災後のストレスがアトピー性皮膚炎に与えた影響が分析されました。対象は1,457名のアトピー患者で、地域を以下の3つに分類しました:

  • A地区:甚大な被害

  • B地区:中程度の被害

  • C地区:被害なし

震災から1か月後、被験者はアンケートに回答し、医師による診察を受けました。その結果、アトピーの悪化はA地区で38%、B地区で34%、C地区で7%の患者に見られました。

ロジスティック回帰分析により、「粉塵などの環境要因」よりも、「被災による主観的なストレス」の方が皮膚症状の悪化により大きく関与していることが示されました。

あなたの肌タイプをたった4分でチェック。 皮膚科学に基づいた診断 で、あなたの肌にぴったりなスキンケアをご提案します。

ストレスが湿疹を引き起こすしくみ

生物学的なメカニズムとしては、ストレスが皮膚の炎症を悪化させることが知られています。

ストレスはマスト細胞(肥満細胞)の分泌を促進します。これらの細胞はアレルギー反応に関与しており、ヒスタミンなどを放出します。

これは皮膚神経から放出される神経ペプチド(CRH〈副腎皮質刺激ホルモン放出因子〉、ニューロテンシン、サブスタンスP、タキキニンなど)によって引き起こされ、血管拡張やかゆみを引き起こす物質の放出につながります。

また、ストレスホルモンであるコルチゾールは、皮膚のバリア機能を弱める働きがあります。具体的には、角質層の構造を保つための脂質の合成が減少し、水分保持力が低下します。その結果、肌が乾燥しやすく、刺激に敏感な状態になります。

コルチゾールは同時に、炎症性サイトカインの合成も促進し、皮膚炎症をさらに悪化させます。

ストレスとうまく付き合うことで、アトピーの悪化を防ぐ

ストレスは日常生活の中に常にあるもので、遺伝的なストレス耐性を変えることや、生活環境を一変させることは難しいかもしれません。しかし、ストレスにどう対応するかは工夫次第で改善可能です。

  • 生活習慣の見直しは有効です。

    例:定期的な運動、良好な人間関係の維持、アルコールやタバコの制限、十分な睡眠

  • 科学的証拠は限られていますが、カウンセリングなどの心理療法は炎症性皮膚疾患の補助的な治療法として役立つ可能性があります。

  • 一般的に、ストレスケアは免疫機能の改善に効果的であるとされています。たとえば、リラクゼーション法、ヨガ、瞑想などが挙げられます。

ただし、これらのアプローチがアトピー性皮膚炎そのものの症状改善につながるという科学的根拠はまだ確立されていません。

ストレスと湿疹の「悪循環」

ストレスが湿疹の症状を悪化させるだけでなく、湿疹そのものがストレスの原因となる場合もあります。つまり、相互に影響し合う悪循環が生じる可能性があるのです。

そのため、湿疹の症状を少しでも和らげることができれば、結果としてストレスも軽減され、病状の改善につながる可能性もあります。この仮説はまだ検証段階ですが、今後のケアの在り方を考えるうえで有用な視点といえるでしょう。

参考文献

  • ROGUEDAS A. M. et MISERY L. Atopie et stress. Annales de Dermatologie et de Vénéréologie (2004).

  • GOLDENBERG G. & al. Eczema. The Mount Sinai Journal of Medicine (2011).

肌タイプ診断

自分の肌タイプと
お肌に合ったケアを調べましょう。