妊娠は丘疹膿疱型酒さの発症を促進する？

別名酒さのニキビ とも呼ばれる、丘疹膿疱型酒さは、特に特徴的な 酒さの一形態です。これは慢性的な皮膚疾患で、血管に影響を及ぼします。顔の部分に限定して症状が現れ、赤みを伴います。その赤みがある部分に、自然に小さな盛り上がり（丘疹）や膿をもったできもの（膿疱）が現れます。

丘疹膿疱型酒さは、皮膚に常在するダニの一種、デモデックスが過剰に増殖することが原因で発症します。デモデックス・フォリキュロルム（Demodex folliculorum） とデモデックス・ブレビス （Demodex brevis ）という2種のダニは、人間の毛包や皮脂腺に生息する寄生虫です。Demodex folliculorum は主に毛包内に、Demodex brevis は皮脂腺内に生息しています。これらのダニは皮膚の赤みや、丘疹、膿疱の形成を引き起こし、酒さ患者の皮膚症状の原因となります。これらのダニの過剰増殖は免疫系の異常に関連しており、慢性的な浮腫（むくみ）が生じることでダニのさらなる繁殖を助長すると考えられています。

「丘疹膿疱型酒さは妊婦特有の疾患である」といった誤った認識もありますが、それは間違いです。妊娠中に見られる血管拡張の現象はこの病気と混同されやすいのですが、症状が似ているだけで異なるものです。妊婦では血管の生理的変化に伴い、小さな血管が破裂することがあります。この現象は丘疹膿疱型酒さのように見える赤みを引き起こしますが、これは酒さとは全く異なります。紅斑、すなわち皮膚の赤みと呼ばれるものです。

妊娠中の女性に見られるニキビは、ホルモンの変動に起因する副作用の一つですが、丘疹膿疱型酒さにおける症状はホルモン起因ではないため、これに含まれません。