アトピーは皮膚の炎症性疾患で、皮膚の病変、かゆみ、極度の乾燥などが特徴です。湿疹の悪化を引き起こす要因はいくつかありますが、その中でも「食事」は重要な要素のひとつです。ここでは、アトピー肌の人が避けるべき食品と、取り入れたい食品について解説します。

湿疹の原因とは?
アトピーとは、皮膚に炎症性の病変やかゆみが現れる疾患を指します。非常に一般的な湿疹で、フランスではニキビに次いで最も多い皮膚病です。主に乳児や子どもに多く見られますが、大人も発症することがあります。湿疹は、遺伝的要因と環境要因が複雑に関係して発症します。
アトピー性湿疹の患者には、遺伝的な素因があることが多く、フィラグリンをコードする遺伝子や、皮膚の角質層の構造を保つために必要な他の分子に異常が認められています。これらの異常により、皮脂や脂質、細胞接着分子の産生が不十分になり、皮膚のバリア機能がうまく働かなくなるのです。
アトピー性湿疹は、アレルゲンとの接触によって引き起こされる「接触性皮膚炎」とは異なります。接触性湿疹は遺伝的素因を必要とせず、アレルゲン(反応を引き起こす物質)を排除することで改善します。ほかにも、貨幣状湿疹や汗疱(かんぽう)状湿疹など、ややまれなタイプも存在します。
アトピー肌の人が避けたほうがよい食品は?
湿疹の悪化は、主に皮膚がアレルゲンと接触することで引き起こされますが、食事と接触性皮膚炎の関連性についてもいくつかの研究が行われています。研究によれば、私たちが日常的に摂取している食品の中にも、発症や悪化に関係するアレルゲンが含まれている可能性があります。
ある研究では、湿疹のある子ども40人を対象に、どの食品に反応するかを調べたところ、特定の食材が共通して反応を引き起こしていました。
食品 | アレルギー反応を示した子どもの人数(40人中) |
---|---|
乳製品 | 21人 |
卵 | 18人 |
柑橘類(みかん、オレンジなど) | 9人 |
ナッツ/ピーナッツ | 8人 |
魚 | 6人 |
小麦(パン、シリアル、ビスケットなど) | 5人 |
トマト | 4人 |
子羊肉(ラム肉) | 4人 |
鶏肉 | 4人 |
大豆 | 3人 |
ただし、こうした食品をすべて完全に除去することは推奨されていません。栄養の偏りや栄養不足を招くリスクが高いためです。そのため、自分がどの食品に反応しているのかを見極める「除去食」の試みが勧められています。
すべての湿疹患者が食事に対して過敏というわけではありません。ある食品を1か月間食事から外し、湿疹に変化があるかを観察してみましょう。疑わしい食品を一つずつ試すのがコツです。
注意点: もし特定の食品が湿疹の悪化を招くとわかって除去する場合、栄養バランスが崩れないように注意しましょう。代替となる食品やサプリメントについては、医師に相談することをおすすめします。
湿疹の人が積極的に取りたい食品は?
現時点では、湿疹患者に特別な食事制限を設けるべきという明確な科学的根拠はほとんどありません。基本的には、一般の人と同じく、バランスの取れた食生活と十分な水分補給を心がけることが大切です。中でも「地中海式食生活」が勧められる傾向にあります。
とはいえ、湿疹が引き起こす炎症を和らげるために、「抗炎症作用」のある食品を意識的に選ぶのは有効です。
例えば、青魚などに多く含まれるオメガ3脂肪酸は、抗炎症性のあるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)の前駆体です。これらは「レゾルビン」と呼ばれる抗炎症物質の生成に関与し、炎症の原因となる物質の働きを抑制し、痛みを軽減する効果があります。
また、ブロッコリーやアーティチョークといった緑黄色野菜も、アトピー性皮膚炎の人にとって有益とされています。これらの野菜には抗酸化作用があり、さらに「フラボノイド」と呼ばれる成分が炎症を引き起こすサイトカインの合成を抑えることで、抗炎症効果を発揮します。
参考文献
WARNER J. O. & al. Compliance problems in the dietary management of eczema. Archives of Disease in Childhood (1983).
SANTIAGO S. Food allergies and eczema. Pediatrics Annals (2015).
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