紫外線から肌を守るために日焼け止めを使うことは、皮膚がんの予防や光老化(紫外線による老化)を防ぐために一般的に推奨されています。よくあるアドバイスとしては、人々がより積極的に予防策をとるようになるためにも、一年を通して、毎日日焼け止めを使うことが勧められています。たとえ冬であっても、というわけです。でも実際のところ、本当に冬にも日焼け止めを塗る必要があるのでしょうか?

冬も夏と同じくらい紫外線を浴びている?
地球には季節の変化がありますが、これは2つの現象によって引き起こされます。それは、地球が太陽の周りを回っていることと、地軸が傾いていること(地球の自転軸が北極から南極に向かって斜めになっていること)です。
地球が太陽から遠ざかると、太陽光が地表に届く角度や量が変化します。太陽の光が低い角度から、かつ長い距離を通って地表に届く場合、大気を通過する距離が長くなるため、光は弱まります。これによって気温が下がり、肌にダメージを与える紫外線(UV)の量も減るのです。
この地軸の傾きと地球の自転の組み合わせにより、太陽が空を移動する軌道が短くなり、日照時間が減ることになります。太陽の光が少なく弱くなることで、気温が下がり、冬が訪れるのです。
その他の気象条件や行動の変化も、冬における紫外線への曝露に影響を与えます。
雲:寒い天候では、より多くの雲が発生します。雲は紫外線を拡散させ、地表に届く紫外線量を変化させます。厚い雲は紫外線を最大50%まで遮る可能性がありますが、晴れた日に見られる薄い雲は、逆に紫外線を増やすこともあります。これは、雲の厚さ・高さ・種類によって大きく異なります。
雪:晴れた日に積もった新雪は紫外線を反射し、紫外線レベルを約30%増加させることがあります。
標高:太陽に近づくほど紫外線は強くなります。標高が1,000メートル上がるごとに、紫外線は約2~5%増加するとされています。これはおそらく、大気が薄くなることが原因です。
外で過ごす時間:寒い気候では、人々は外にいる時間が短くなります。実際、冬の紫外線曝露は年間のわずか5%に過ぎないと見積もられています。
冬服:外にいる時間が短くなるだけでなく、外出中も夏と比べてより厚く、長袖服を複数重ねて着ることが多く、これが紫外線曝露の可能性を大きく減らします。
冬も日焼け止めは必要?
冬に日焼け止めを使うべきだという主張の一つに、地表に届くUVA(紫外線A波)の量は、夏でも冬でも年間を通して変わらないというものがあります。しかし、これは正しくないようです。UVAやUVBの量は、年間を通して変動があり、冬の間は明らかに減少します。具体的には、赤道以外の地域では、太陽の光がより低い角度から差し、日照時間も短くなるため、紫外線(UVAも含む)は減少し、弱まります。
冬の間、赤道から離れた地域では紫外線や可視光線の曝露量は大幅に減りますが、それでも少し残った紫外線は、メラノーマ(皮膚がんの一種)、ニキビ、色素沈着などの肌の光感受性の問題を悪化させることがあります。可視光線や紫外線がこれらの肌の問題を引き起こす可能性があるため、年間を通じて、可視光線にも対応した日焼け止めを使うことが、色素沈着を悪化させないために賢明と言えます。
あなたの住んでいる場所、個人の紫外線曝露量、肌タイプ、光に対する敏感さを考慮した上で、冬に日焼け止めが必要かどうかを自分で判断することができます。日焼け止めが必要な人もいれば、そうでない人もいます。迷っている場合は、予防として日焼け止めを使うことが有益であり、その習慣を続けるのも良いでしょう。人々は紫外線に関して、気温や雲の量という気象条件と紫外線を誤って関連付けることがよくあります。

参考文献
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