静脈瘤は、脚や足首に局所的に現れる皮膚疾患です。これは静脈瘤に関連したうっ滞性の湿疹であり、治療を行わないと治りにくい潰瘍へと進行する可能性があります。では、こうした事態を避け、静脈瘤による湿疹を和らげるには、どのようにすればよいのでしょうか?

静脈瘤による湿疹(皮膚炎)とは?
静脈瘤とは、足首の上あたりを中心とした下腿部に、赤くざらついた斑点が現れる湿疹の一種です。このタイプの湿疹は、主に静脈還流の低下に関連しています。実際、下肢の静脈が心臓へ血液を送り返すだけの弾力を失うと、血液は脚に滞留し始めます。そうなると、血液が静脈の壁に圧力をかけ、それによって静脈が拡張します。これがいわゆる 静脈瘤です。
静脈の壁への過剰な血液圧が皮膚を引き伸ばし、炎症を引き起こします。そこからかゆみが生じ、静脈瘤による湿疹が始まるのです。脚の腫れによって浮腫(むくみ)が生じ、掻きむしることで傷になり、水疱へと進行します。この段階に達した場合、早急な治療が不可欠であり、そうしないと傷の治癒が難しくなります。
着圧ストッキングの着用
静脈瘤による湿疹の広がりに応じて、着圧ストッキングの着用が推奨されます。これにより、静脈不全に関連する静脈の高血圧状態を緩和することができます。着圧ストッキングの原理は、外部から脚の静脈や筋肉に圧力をかけることであり、それにより静脈の直径を縮小し、血液の還流を促進します。さらに、ストッキングがかける圧力によって脚の筋肉が刺激され、筋肉が収縮し、深部静脈が圧迫されることで表在静脈の血液の滞留を防ぐ効果も期待できます。
脚を高くして寝ること
静脈瘤を和らげるもう一つの方法は、ベッドの端に枕を置き、脚を少し高くして眠ることです。重力の作用によって静脈のうっ血が軽減され、血液の還流が促進されます。また、この姿勢は浮腫の軽減にも役立ちます。脚を高くすることで、組織内に溜まった液体がリンパ管に向かって排出されやすくなり、腫れが引いて快適さが増します。
アロマテラピー
いくつかの研究は、 湿疹の症状緩和を目的とした補完・代替医療(CAM) に注目しており、さらなる研究が必要とされる一方で、アロマテラピーの使用が有効である可能性を示す結果も出ています。この療法は、治療効果のある芳香植物から抽出された精油(エッセンシャルオイル)を利用するもので、 身体的・感情的健康に対してさまざまな効果をもたらします。使用方法は吸入・経口摂取・皮膚への塗布があります。
湿疹に関しては、かゆみを鎮めるために皮膚に塗布される精油や芳香蒸留水(ハイドロラット)として、ティーツリー精油(INCI:Melaleuca Alternifolia Leaf Oil)、真正ラベンダー精油(INCI:Lavandula Angustifolia Oil)、ココナッツオイル(INCI:Cocos Nucifera Oil)、ローマンカモミールの芳香蒸留水(INCI:Anthemis Nobilis Flower Water)が挙げられます。これらの成分は 鎮静作用で知られています。
冷湿布
静脈瘤(うっ滞性湿疹)によるかゆみを軽減するには、冷却の 鎮静効果 を利用する方法もあります。清潔な布で包んだ冷湿布や氷を脚に15分ほど当てるのが効果的です。これによりかゆみの感覚を緩和することができます。注意点として、氷を直接肌に当ててはいけません。凍傷の恐れがあるため、必ず布で包んでから肌に当てるようにしましょう。
ステロイド外用薬
皮膚科医によって処方されるデルモコルチコイドは、非常に効果的で保湿力の高い外用薬であり、かゆみを軽減する有効です。湿疹の発作が始まったらすぐに使用することが勧められており、強力な 抗炎症作用によってかゆみや赤みを軽減します。
ご注意 : デルモコルチコイドは通常皮膚科医の指導のもとで、一定期間の治療として行われます。
静脈瘤の手術
もしかゆみが治まらない、あるいは病変が悪化している場合は、医師に相談することが重要です。医師は必要に応じて、静脈瘤の除去手術を提案することがあります。 治療法には、ストリッピング(静脈抜去)、静脈摘除術(フレベクトミー)、硬化療法、レーザーによる静脈内焼灼・高周波治療などがあり、年齢や症状の重症度、体質によって、適切な方法が選ばれます。、その後、医師は各手術方法の利点、リスク、そして期待される効果について説明し、患者様のニーズや希望を考慮した上で適切な治療法を決定します。
早期に医師へ相談するほど、手術も軽度で済み、影響も少ないでしょう。そのため、 下肢の重だるさ が続くようであれば、なるべく早めに診察の予約を取ることをおすすめします。
出典
GOLDENBERG G. & al. Eczema. The Mount Sinai journal of medicine (2011).
SAURAT J. H., LACHAPELLE J. M., LIPSKER D., THOMAS L. et BORRADORI L. Dermatologie et infections sexuellement transmissibles. Elsevier Masson (2017).
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