湿疹は比較的一般的な炎症性の疾患です。湿疹の最もよく知られている症状は、皮膚に赤い斑点が現れることや、かゆみを伴うことです。また、この疾患が後に茶色いシミを残すことがあると耳にすることもあります。実際のところはどうなのでしょうか?

湿疹は茶色いシミを残すことがある?
茶色いシミができる原因とは?
茶色いシミ(褐色斑) は、皮膚内に メラニンの蓄積することによって形成されます。 この濃い茶色の色素は、人間にとって不可欠なものであり、紫外線から身体を守る役割を果たしています。しかしながら、過剰に生成されると肌の色ムラの原因になることがあります。茶色いシミの主な原因は、日光に当たることです。これを「日光性色素斑」と呼びます。紫外線は、チロシンというアミノ酸に作用し、チロシナーゼという酵素の働きによって、一連の反応が起こり、メラニンの合成を促進します。この過程は 「メラノジェネシス(メラニン生成)」と呼ばれます。こうした理由から、日常的に日焼け止めを使用することが重要です。また、喫煙や大気汚染も、体細胞内で酸化ストレスを引き起こすことから、茶色いシミの発生に関与します。
さらに、ホルモンバランスの変化によっても色素沈着が起こることがあります。例えば妊娠中は、エストロゲンやプロゲステロンというホルモンが大幅に上昇し、これらがメラノジェネシスを活性化させるのです。このような現象により現れるシミは「妊娠性肝斑」と呼ばれます。最後に、茶色いシミは 皮膚の炎症 や損傷により生じることもあります。炎症 (ニキビ、火傷、傷など)の際には、炎症性サイトカインが放出され、メラノサイト(メラニンを生成する細胞)の活性が刺激されます。これは、湿疹の場合にも当てはまります。
湿疹と茶色いシミの関係は?
湿疹は、赤みのある斑点、小さな水疱、皮むけなどを伴う皮膚の炎症性疾患です 。湿疹の病変部では、皮膚がざらつき、かさぶたや浸出液が見られることもあります。こうした症状には、かゆみが伴います。湿疹は慢性疾患であり、症状が悪化する「再発期」と比較的落ち着く「寛解期」を繰り返します。湿疹にはいくつかの種類が存在しますが、最も一般的なものは遺伝的要因が関与するアトピー性皮膚炎と、 、アレルギー性接触皮膚炎と呼ばれる接触皮膚炎です。
湿疹は時に 跡を残すことがあり、時にはそれが茶色いシミとして残ることもあります。皮膚が刺激を受けたり、掻くことによって炎症反応が引き起こされ、サイトカイン(インターロイキン1(IL-1)や腫瘍壊死因子(TNF-α)など)が放出されます。これらのサイトカインはプロテインキナーゼAおよびC(PKAおよびPKC)を活性化させます。これらの酵素は、特定のタンパク質をリン酸化(活性化)することで、メラノジェネシスに関与します。つまり、メラノサイトが刺激され、メラニンの合成が始まるのです。このような「炎症後色素沈着」は、特に肌の色が濃い人に多く見られます。これは、こうした人々が主に「ユーメラニン」と呼ばれる、最も濃い色のメラニンを生成するためです。そのため、茶色いシミが目立ちやすくなる傾向があります。
出典
GOLDENBERG G. & al. Eczema. The Mount Sinai Journal of Medicine (2011).
BORRADORI L. & al. Dermatologie et infections sexuellement transmissibles. Elsevier Masson (2017).
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