湿疹（皮膚炎）は、慢性的な炎症性皮膚疾患です。妊娠中に初めて発症することもあり、これまで皮膚トラブルがなかった女性にも起こり得る症状です。湿疹は不快感を伴いますが、妊娠中は使用できる製品が限られているため、対処が難しいケースも少なくありません。では、妊娠中のかゆみ（妊娠性掻痒）に適したケア方法にはどのようなものがあるのでしょうか？
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妊娠中の湿疹：どう対処すべき？
妊娠性掻痒をわかりやすく解説
妊娠性湿疹、別名妊娠性掻痒は妊娠中の一部の女性に現れる皮膚疾患です。これは妊娠中の女性に最もよく見られる皮膚トラブルの一つで、妊婦の約3人に1人がこの疾患を経験するといわれています。詳しいメカニズムはまだ完全には解明されていませんが、ホルモンの変化が大きく関与していると考えられています。
妊娠は免疫のバランスが変化し、TH2型免疫応答へと傾く傾向があります。この免疫応答はアトピー体質に関連しているため、妊婦に湿疹が出やすい理由の一つとされています。なお、アトピー体質とは、一般的なアレルギー症状を起こしやすい体質のことを指します。
妊娠前から湿疹を経験していた女性のうち、およそ20〜40%が、妊娠中に再発や悪化を経験するとされています。 一方で、妊娠中に初めて湿疹を発症する人もいます。症状して最も多いのが強いかゆみで、肌には赤み、丘疹、水疱、または斑状の炎症が、腹部、腕、脚、胸などさまざまな部位に現れることがあります。
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妊娠中のかゆみを和らげるには？
妊娠中のホルモン変化は、皮膚にさまざまな影響を及ぼします。肌のうるおいや柔らかさを感じる女性もいれば、反対に乾燥やつっぱり感を強く感じる人もいます。肌を守る役割を担う「皮脂膜」が弱まり、その防御機能が低下することで、湿疹が起こりやすくなると考えられています。
そのため、妊娠中のかゆみ（妊娠性掻痒症）を和らげるには、まず 保湿力の高いバームや保湿クリームを少なくとも1日2回以上使用することが推奨されます。これらは肌にうるおいと栄養を与えながら、外的刺激から肌を守るバリア機能をサポートします。ただし、使用前に保湿ケア製品が 妊婦の使用 に適しているか、さらに、精油（エッセンシャルオイル）が含まれていないかなどを確認してください。また、かゆみのある部位に冷たい水で湿らせたガーゼなどを当てることで、かゆみを一時的に和らげることができます。
妊娠中に湿疹が出た場合は、自己判断で済ませず、 医師に相談すること が大切です。主に使用される治療法には、 ステロイド外用薬 と 光線療法（フォトセラピー） があります。ステロイドはコルチゾン由来の外用薬で、肌に局所的に塗布することで炎症やかゆみを抑える効果が期待されます。湿疹がかゆみを伴い始めたり、赤み・ざらつきが出てきた段階で使用するのが推奨されており、症状が悪化するまで待たないことが大切です。一方、光線療法は紫外線（UV）を使って肌の炎症を落ち着かせる治療法です。
これらの治療法は 妊娠中であってもリスクは少ないとされていますが、いずれの場合も医師の判断のもとで行うことが重要です。医師が個々の状態に応じて、適切な治療方法を選択してくれます。
出典
REYNOLDS N. & al. Eczema and pregnancy. The British Medical Journal (2007).
GOLDENBERG G. & al. Eczema. The Mount Sinai Journal of Medicine (2011).
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