湿疹と真菌症はよく似ており、赤み、発疹、かゆみなどの共通する症状を特徴とします。しかし、治療法が異なるため、この2つを区別することは非常に重要です。ここでは、それらの皮膚疾患を見分ける方法をご紹介します。

湿疹と真菌症:それぞれの疾患についての簡潔なおさらい
湿疹(皮膚炎)は 慢性的で感染性のない皮膚疾患です。炎症によって赤み、皮むけ、かゆみなどを引き起こします。体のあらゆる部位に発症し、症状の強さは時期によって異なり、発作期(再発)と寛解期を繰り返します。湿疹の発症には、遺伝的要因と外的要因(特定のアレルゲンや刺激物質との接触)との組み合わせが関与しています。皮膚のバリア機能が低下し、アレルゲンが浸透しやすくなることで、過剰な反応を引き起こします。
一方で、真菌症(水虫など)は、感染性のある皮膚疾患で、カンジダ属などの酵母菌や皮膚糸状菌によって引き起こされます。酵母菌の増殖は、湿気、発汗、さらにはステロイド剤の使用によって促進されます。一方で、皮膚糸状菌は皮膚、頭皮、爪に含まれるケラチンを栄養源とします。皮膚糸状菌を原因とする頭皮の真菌症は「白癬(はくせん)」と呼ばれ、頭皮湿疹とよく似た症状を示します。手足にできる真菌症は、汗疱状湿疹とよく似ています。
湿疹と真菌症を見分けるには?
湿疹と真菌症の症状は非常によく似ており、見分けがつきにくい場合があります。実際、どちらも皮膚や頭皮に赤くてかさつく、かゆみを伴う斑点が現れます。しかし、いくつかの違いに注目することで、正確な判断がしやすくなります。
斑点の出現場所
湿疹は、最初は特定の部位に現れますが、後に他の部位へと広がることがあります。一方、真菌症は通常、1か所のみに発症します。多くの場合、爪や足などが感染します。
ただし、湿疹が原因で真菌症を引き起こすことも、逆に真菌症が湿疹を誘発することもあります。真菌が免疫系を刺激し、湿疹反応を引き起こすことがあるのです。また、湿疹によって皮膚が損傷していると、真菌に感染しやすくなることもあります。斑点の形状
真菌症による斑点には、はっきりとした特徴的な形があります。特に皮膚糸状菌によるものは、円形で境界がくっきりしており、半円を描くような形になることが多いです。一方、湿疹の斑点には特定の形状があるわけではありません。
かゆみの強さ
真菌症によるかゆみは、湿疹に比べると軽度で我慢しやすい傾向があります。強いかゆみや不快感がある場合は、湿疹である可能性が高いと考えられます。
治療方法
湿疹と真菌症では治療法が大きく異なります。湿疹の治療では、乾燥した皮膚(乾皮症)を改善するために、保湿剤を毎日使用することが基本です。症状がひどい時は、ステロイド外用薬(デルモコルチコイド)を併用します。一方、真菌症の場合、ステロイドは効果がなく、むしろ悪化させることがあります。真菌症には、原因となる菌を死滅させることが重要であり、抗真菌薬を患部に直接塗るなどして治療します。
注意 本記事では、湿疹と真菌症を見分けるためのいくつかのポイントをご紹介しましたが、確実な診断のためには皮膚科専門医を受診することが第一の選択肢です。疑わしい症状がある場合は、すぐに医師に相談してください。
出典
GOLDENBERG G. & al. Eczema. The Mount Sinai journal of medicine (2011).
SAURAT J. H., LACHAPELLE J. M., LIPSKER D., THOMAS L. et BORRADORI L. Dermatologie et infections sexuellement transmissibles. Elsevier Masson (2017).
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