もともとは良性の疾患である酒さですが、患者にとっては悩みの種となることがあります。幸いなことに、皮膚科医が処方する治療に加えて、顔の赤みを軽減するための方法がいくつか存在します。そのひとつとして、ヒアルロン酸注射は良好な結果をもたらす美容医療の手法として取り上げられます。では実際にはどうなのでしょうか?この方法は本当に酒さの症状を和らげることができるのでしょうか?

ヒアルロン酸注射と酒さ:この美容医療は、この皮膚疾患にどのような影響を与える?
酒さとは何か?
酒さは顔の頬、鼻、額などに赤み(紅斑)が現れる、非感染症の慢性的な皮膚疾患です。これらの赤みは小さな血管の拡張によるもので、皮膚の病変、ヒリヒリ感、ほてりなどを伴うことがあります。より重篤な段階(眼型酒さ、 鼻瘤など)に進行する可能性があるため、酒さを早期に治療することが重要です。
酒さの特徴的な赤み(紅斑)は常に現れているわけではなく、この疾患は 再発と寛解の時期を繰り返します。酒さの正確な原因はまだ解明されていませんが、いくつかの研究では主に30~50歳の色白の女性に多く見られることが示わかっています。さらに、酒さの悪化に関与する 要因 として、暑さ(高温)、香辛料を多く含む食べ物の摂取、ストレス、日光への曝露などが挙げられます。現時点では 酒さを完全に治することはできませんが、顔の紅斑を軽減する ための対処法は存在します。
ヒアルロン酸は酒さにどのように作用する?
ヒアルロン酸は体内に自然に存在する親水性の糖質です。特に筋肉や関節の周囲に多く含まれていますが、主な貯蔵場所は皮膚、より正確には真皮です。皮膚におけるヒアルロン酸の主要な役割は保湿を維持することです。この分子は真皮の結合組織の形成に寄与し、コラーゲンやエラスチン繊維の支持体として機能することで、皮膚のしなやかさと弾力性において重要な役割を果たします。加齢とともに体内でのヒアルロン酸の生成は減少し、その結果としてしわや小じわが現れます。この減少に対処するため、そして老化のサインを補うために、一部の美容クリニックではヒアルロン酸の注射を提供しています。
酒さに関して言えば、現在のところヒアルロン酸注射が症状を軽減するという証拠は存在しません。一方で、レーザーや光治療など、他の美容医療の方法は効果があるとされています。また、軽度の酒さに悩む方には、注射ではなくヒアルロン酸を配合したスキンケア製品を使用することをおすすめします。実際、この成分を含む化粧品は、いくつかの研究において 赤みを軽減し、皮膚のバリア機能を強化する効果が実証されています。
最近では、89%の温泉水と0.4%のヒアルロン酸を含むクリームの効果に関する研究が行われました。軽度の酒さを患う20名の被験者が、30日間、1日2回このスキンケア製品を塗布しました。試験終了後、紅斑(赤み)、皮膚剥離(皮むけ)、丘疹・膿疱、皮膚の乾燥、かゆみ、ヒリヒリ感について臨床評価を実施しました。その結果、 これらすべての指標において30日間の治療中に有意な改善 が見られました。さらに、皮膚への耐性も極めて良好と判断されました。
まとめ :ヒアルロン酸を用いたスキンケア製品は、軽度の酒さを緩和するための有益な特性を持つことが示されています。ただし、ヒアルロン酸注射については、今のところその効果を裏付ける証拠はまだ不十分です。
出典
TAN J. & al. A Split-Face Study Assessing the Clinical Benefit, Tolerability and Subject Satisfaction of a Dermocosmetic in Subjects with Rosacea Associated with Erythema and Sensitive Skin. Clinical, cosmetic and investigational dermatology (2020).
AHMED M. A. & al. A review of the cosmetic use and potentially therapeutic importance of hyaluronic acid. Journal of Applied Pharmaceutical Science (2022).
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