湿疹とは、多くの要因が関係する皮膚のトラブルであり、さまざまな形で現れます。適切に対処するためには、どのタイプの湿疹かを見極めることが重要です。この記事では、それぞれの湿疹の特徴について解説します。
湿疹とは?
湿疹 (皮膚炎)は 慢性的な皮膚疾患であり、乾燥した皮膚に赤い病変が伴います。これらの病変は隆起してざらざらしており、強い かゆみを引き起こします。繰り返し掻きむしることでひび割れが生じ、皮がむけ、滲出液が出ます。さらにかさぶたができたり、皮膚が厚くなったりすることもあります。
この皮膚疾患は多くの人にみられますが、特に乳幼児や子どもに多く見られます。皮膚疾患の診察全体のうち、およそ30%が湿疹に関係していることがわかっており、これはニキビに次いで2番目に多い皮膚疾患となっています。湿疹については多くの誤解がありますが、実際には 感染性はなく 、良性の病気であることを知っておくことが重要です。とはいえ、湿疹は患者の生活に大きな影響を与えることもあります。
主な湿疹の種類は?
湿疹にはさまざまな種類があり、それぞれ異なる原因を持っています。一般的には、原因や発症する体の部位によって 分類されます。以下に、特に一般的な2種類の湿疹をご紹介します:
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、非常に一般的な皮膚疾患です。赤くてかゆみを伴う病変が体のさまざまな部位に現れ、発作的に悪化するのが特徴です。発作の合間も、皮膚は非常に乾燥しています。アトピー性皮膚炎には遺伝的要因があります。
研究によると、このタイプの湿疹はフィラグリンや角質層の意地に必要な他のタンパク質に関わる遺伝子変異と関連していることがわかっています。 その結果、皮膚のバリア機能が低下し、水分が蒸発しやすく、アレルゲンが侵入しやすくなります。さらに、アトピー性皮膚炎患者は、環境中の抗原に対して免疫グロブリンE (IgE) を過剰に分泌する傾向があり、動物の毛やホコリなどの一般的なアレルゲンとの接触によって、過剰な免疫反応を起こします。
この疾患は遺伝的素因によるため、完全に治すことはできません。一方で、毎日の保湿剤の使用や、発作時にステロイド外用薬を使用することで、症状を大幅に軽減し、患者の生活の質を改善することができます。
接触皮膚炎は、特定のアレルゲン への接触によって引き起こされるもので、遺伝とは無関係です。皮膚がアレルギーを引き起こす物質に触れることで反応が起こります。このタイプの湿疹は、日常生活で接触する4つの主なアレルゲンに起因することが多いです。すなわち、衣料品、化粧品、外用薬、そして職場のアレルゲン(セメント、塗料、農薬、手袋など)です。接触皮膚炎の症状はアトピー性皮膚炎に似ています。しかし、アトピー性皮膚炎とは異なり、 接触皮膚炎は原因となるアレルゲンとの接触を避けることで、完全に治すことができます。
その他の湿疹の種類
アトピー性皮膚炎と接触皮膚炎は湿疹の中で最も一般的なタイプですが、他にもいくつかの形態が存在します。以下に簡単にご紹介します:
貨幣状湿疹
貨幣状湿疹は、 赤く丸い湿疹の斑点 が皮膚に現れるタイプで、かゆみを伴います。この病変は硬貨のような円形をしており、主に腕、脚、臀部に現れます。この湿疹は、多くの場合、アトピー性皮膚炎の一形態と考えられています。皮膚バリア機能に問題がない非アトピー性の人にも見られることがありますが、その場合の明確な原因はまだ解明されていません。
静脈瘤 (うっ滞性湿疹)
静脈瘤(うっ滞性湿疹)は 静脈不全によって引き起こされます。特に血栓症や静脈瘤の既往がある人によく見られ、脚や足首に見られます。この湿疹は、赤く滲出する病変とかゆみが特徴で、放置すると静脈性潰瘍に進行する可能性があり、この潰瘍は慢性的な傷となり、完全には治癒しません。
汗泡性湿疹 (異汗性湿疹)
この湿疹は、手のひらや足の裏、指や足の指の側面に小さな水疱 ができるのが特徴です。これらの水疱は透明な液体で満たされており、強いかゆみを伴います。この湿疹の正確な原因は現在も不明ですが、アトピー性皮膚炎や接触皮膚炎にかかりやすい人がより発症しやすいとされています。
欠乏性湿疹
最近の研究によれば、湿疹性の皮膚病変が亜鉛不足と関連していることが明らかになっています。これを「欠乏性湿疹」と呼びます。これはアトピー性皮膚炎や接触皮膚炎の特異形態として分類されます。亜鉛は免疫バランスの維持に重要な役割を果たす微量元素であり、亜鉛が不足しているアトピー性皮膚炎の患者に対して亜鉛を補給したところ、8週間の治療後に症状の改善が見られたという報告があります。
出典
GOLDENBERG G. & al. Eczema. The Mount Sinai journal of medicine (2011).
RO Y.S. & al. Hair zinc levels and the efficacy of oral zinc supplementation in patients with atopic dermatitis. Acta Dermato-venereologica (2014).
SAURAT J. H., LACHAPELLE J. M., LIPSKER D., THOMAS L. et BORRADORI L. Dermatologie et infections sexuellement transmissibles. Elsevier Masson (2017).
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