湿疹(皮膚炎)は、体の特定部位に局所的な炎症をが現れる皮膚疾患です。症状を和らげるための治療法は複数あり、コルチゾン(副腎皮質ステロイド)は皮膚用ケアによく配合される成分のひとつです。では、コルチゾンは湿疹に対してどのような影響をもたらすのでしょうか?

コルチゾン(副腎皮質ステロイド)は湿疹にどのような作用をもたらす?
湿疹はどのように現れるのか?
湿疹 (皮膚炎)は再発を繰り返す皮膚の炎症性疾患であり、特に子どもや乳児に多く見られます。 ニキビに次いで皮膚科を受診する主な理由の第2位でもあります。軽度の疾患とみなされることが多いものの、湿疹 は不快な症状 を伴い、患者の日常生活に大きな影響を及ぼ巣ことがあります。
病変 :赤く炎症を起こした病変は、湿疹の急性期に出現します。しばしば透明な液体を含む小さな水疱を伴い、自然に、あるいは掻きむしることによって滲出液が出ます。その後次第に皮膚が厚くなり、「苔癬化(たいせんか)」と呼ばれる状態になります。
かゆみ : アトピー性皮膚炎の発症中はが強いかゆみを引き起こし、患者の生活に大きな影響を及ぼします。イライラ、不眠、疲労感など、これらはすべてかゆみによる影響です。
皮膚の乾燥 : アトピー性肌は水分保持が困難なため、常に非常に乾燥しています。この状態を「乾皮症」と呼びます。発症していないときでも皮膚がつっぱったり不快感を感じやすく水に長時間触れることや不適切な製品の使用が乾燥を悪化させます。
コルチゾンは湿疹にどのように作用する?
コルチゾンは、体内の副腎で自然に生成されるホルモン「コルチゾール」と非常に近い化学構造を持つ分子です。コルチゾールは、糖や炭水化物の代謝やエネルギー放出の調節に重要な役割を果たしています。コルチゾンは 医薬品として扱われ 、処方箋によって供給されます。副腎不全には経口投与、関節リウマチには関節内注射、皮膚の炎症には外用塗布として用いられるなど、用途は多岐にわたります。湿疹に対しては、コルチゾンは以下のような効果があります:
抗炎症作用
コルチゾンはグルココルチロイド受容体(ステロイド受容体の一種)に結合し、炎症に関与するインターロイキン(IL-1、IL-6)や腫瘍壊死因子(TNF-α)などの産生を抑制します。これにより、赤みやかゆみといった炎症症状が軽減されます。
免疫抑制作用
コルチゾンには免疫抑制作用もあり、体の免疫反応を抑える働きがあります。湿疹(皮膚炎)患者は、環境中のアレルゲンに反応して大量の免疫グロブリンE(IgE)を分泌する傾向があります。コルチゾンを含む外用薬(ステロイドなど)を皮膚に塗布することで、この症状を緩和できます。コルチゾンは特に、Tリンパ球の活性化を阻害し、炎症性サイトカインの分泌を抑制することで、アレルゲンとの接触による炎症反応を軽減します。
湿疹の治療におけるコルチゾン入りクリームの適切な使用方法とは?
コルチゾンを含む外用薬、いわゆる デルモコルチコイドは、湿疹治療において最も皮膚科医に処方される治療法の一つです。その有効性は確立されており、症状を緩和に役立ちます。これらの外用薬は、生後1歳から使用可能です。さまざまな種類があり、湿疹の病変部位や患者の年齢に応じて使い分けます。
使用方法としては、1日1回 、 湿疹の再発期(炎症のある時期)のみの使用が基本です。皮膚科医は、症状が悪化してから使用するのではなく、再発(悪化)の初期段階から塗布することを推奨しています。副作用を避けるためにも、医師の指示に従って正しく使うことが重要です。湿疹が再発していない時期は、一般的な保湿剤で肌を保湿・栄養補給し、皮脂のバリア機能(皮膚膜) を回復させ、および乾燥を防ぐことが勧められます。
出典
FONACIER L. & al. Treatment of Eczema: Corticosteroids and Beyond. Clinical reviews in allergy and immunology (2016).
GUTTMAN-YASKY E. & al. Use of systemic corticosteroids for atopic dermatitis: International Eczema Council consensus statement. The British journal of dermatology (2018).
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