アトピー性皮膚炎は、すべての年齢層に影響を及ぼす可能性のある皮膚のトラブルです。赤ちゃんも例外ではなく、およそ5人に1人の割合でこの皮膚疾患が見られます。赤ちゃんのつらさを和らげ、ご家族が安心できるようにするためには、アトピー性皮膚炎を正しく認識することが大切です。では、この病気の兆候にはどのようなものがあるのでしょうか?

アトピー性皮膚炎とは?
アトピー性皮膚炎は一般的な皮膚疾患であり、患者の生活の質に大きな影響を与える可能性があります。この病気は、強いかゆみを伴う病変や赤みを帯びた斑点が現れるのが特徴です。アトピー性皮膚炎は幼少期から発症することがあり、うち約10〜15%は成人になっても持続します。研究によると、この皮膚炎にかかった子どもの多くには、家族に湿疹の既往歴があることが多く、患者の約50〜70%が、第一度近親者(親など)に同様の疾患を持つ人物がいるとされています。
アトピー性皮膚炎は、アレルギー体質という遺伝的素因を持つ人に発症します。こうした人々は皮膚バリア機能に異常があり、皮脂や脂質、角質層の構造を保つために必要な他の分子が不足しています。この皮膚バリアの異常により、皮膚は刺激物や環境中のアレルゲンに対して脆弱になり、炎症反応を引き起こしやすくなります。
さらに、アトピー性皮膚炎の患者の免疫系は、環境中の抗原に対してIgE(免疫グロブリンE)抗体を大量に分泌します。この過剰な免疫反応が、赤み・乾燥・刺激など、アトピー性皮膚炎特有の症状を引き起こします。
赤ちゃんのアトピー性皮膚炎をどう見分ける?
アトピー性皮膚炎は、生後数か月の早い段階から現れることがあります。この皮膚疾患は感染性ではないため、親御さんが何か特別な予防策をとる必要はありません。アトピー性皮膚炎は、赤ちゃんの皮膚が環境に対して十分な防御力を持っていないことが原因で炎症が生じます。赤ちゃんのアトピー性皮膚炎には、以下のようなさまざまな症状が現れます:
全身の皮膚の乾燥:日常的に保湿していても、皮膚が乾燥してしまいます。これは皮膚バリアの欠如により、水分が大量に失われてしまうためで、この現象は「乾皮症」と呼ばれます。
赤く腫れ、鱗のように皮むけする斑点の出現:体のさまざまな部位に現れます。赤ちゃんのうちは、顔(額・あご・頬)や手足(腕・脚)に現れることが多く、2歳以降は、首・耳・肘・お尻・手首・足首など、体の「しわ」部分に移行する傾向があります。こうした斑点には徐々に小さな水ぶくれができ、それが滲出液を出し、最終的にはかさぶたになります。
かゆみ:赤ちゃんがかゆがって自分で掻いてしまいます。
赤ちゃんのアトピー性皮膚炎は、発作的に症状が現れる「急性期」と、症状が落ち着いている「寛解期」を交互に繰り返すのが特徴です。一般的には、発作と発作の間には落ち着いた期間があり、年齢とともに自然と治るケースもありますが、まれに成人後も続くことがあります。
赤ちゃんのアトピー性皮膚炎をどう和らげる?
わが子が苦しんでいる姿を見ることは、親にとって大きなストレスとなります。ですが、赤ちゃんのアトピー性皮膚炎は、適切なケアによって和らげることが可能です。まず大切なのは、医師に相談することです。医師は症状の程度に応じて、適切なケア製品を提案してくれます。重症度によっては、保湿ローション・クリーム・軟膏の使用が勧められ、必要に応じて低濃度のステロイド外用薬が処方されることもあります。
保湿剤は、肌の水分を保ち、皮膚バリアを強化するために毎日欠かさず塗布することが大切です。角質層に脂質を補うことで、将来的な再発を予防します。ステロイド外用薬は、発作が始まりそうなタイミングで使用します。赤みが出始めたらすぐに使い始めることで、発作を抑えるのに効果的です。
さらに、赤ちゃんのアトピー性皮膚炎を予防・緩和するためには、熱いお風呂は避けましょう。高温の湯は、皮膚表面の「皮脂膜」を溶かしてしまい、皮膚バリアをさらに弱めてしまいます。お風呂上がりには、柔らかいタオルで優しく押さえるように水分を拭き取り、柔らかくて肌にやさしいタオルを使うようにしましょう。その他にも、発作を防ぐための生活習慣があります。例えば、ホコリをためやすいカーペットや厚手のカーテンは避ける、こまめに掃除機をかけるといった対策が効果的です。
参照
GOLDENBERG G. & al. Eczema. The Mount Sinai Journal of Medicine (2011).
BORRADORI L. & al. Dermatologie et infections sexuellement transmissibles. Elsevier Masson (2017).
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