湿疹は非常に一般的な皮膚疾患で、フランスの成人の約6%にみられます。症状は落ち着く時期と悪化する時期(再発)を繰り返し、発症時には強いかゆみを引き起こします。こうしたかゆみを和らげることはとても重要です。ここではかゆみを軽減するためのアドバイスをご紹介します。

アドバイス1:かゆみを鎮めるための温泉水や植物オイル
皮膚科医に処方されるクリームに加え、自然由来の製品を使用することで、かゆみの軽減が期待できます。中でも温泉水は、その 治癒促進や鎮静作用があるとして高く評価されています。ミネラルや微量元素を豊富に含んでおり、スプレータイプなら直接スプレーしたり、液体タイプなら肌にマッサージしながら塗布することができます。
また、特定の精油やハイドロラット(芳香蒸留水)にも かゆみを和らげる効果があります。たとえばティーツリー精油 (INCI:Melaleuca Alternifolia Leaf Oil)や真正ラベンダー精油 (INCI:Lavendula Angustifolia Oil)、ローマンカモミール水 (INCI:Anthemis Nobilis Flower Water)はすべて、鎮静効果で知られる成分です。
ココナッツオイル(INCI:Cocos Nucifera Oil)についても、湿疹による病変部に日常的に塗布することで、アトピー性皮膚炎の重症度スコア(SCORAD)が改善するという研究結果があります。このスコアは、病変の赤み・範囲・見た目・かゆみなどの要素を総合的に評価する指標です。
アドバイス2:かゆみを和らげる自然由来の成分
湿疹に効果があるとされる天然成分は他にもあり、特に抗炎症作用を持つものは、かゆみの緩和に役立ちます。
たとえば アロエベラジェルは天然の軟膏として知られています。修復・鎮静効果により皮膚の再生を促進しながら保湿も行います。これらの効果は主にアセマンナンという多糖類によるもので、血管新生やコラーゲン・グリコサミノグリカン生成を促します。また、炎症を引き起こすサイトカインの生成を抑える働きもあり、赤みやかゆみを軽減します。
ハチミツは湿疹によるかゆみの緩和に効果的です。複数の研究で、はちみつを病変部に2週間毎日塗布したところ、SCORADが80%低下したという結果が報告されています。
はちみつにはフェノール化合物やフラボノイドが含まれており、これらが炎症に関わる酵素(COX-2やiNOS)の活動を抑制します。これにより、炎症性プロスタグランジンの生成が減り、血管拡張や痛み感受性が抑えられます。
補足 :湿疹を緩和する効果が実証されている他の天然成分として、オートミールやクレイ、 ウコンなどがあります。
アドバイス3:冷却によるかゆみの緩和
かゆみを和らげるもう一つの方法は、炎症部位を「冷やす」ことです。冷却には即効性および鎮静効果があります。冷蔵庫で冷やしたタオルやガーゼをかゆみのある部位に30分ほど当てましょう。氷を使用する場合は、清潔な布で包み、 氷を直接肌に当てないように気をつけましょう。皮膚に直接当てると肌を傷つけてしまう可能性があります。
参照
LEINS L. et ORCHARD D. Eczema management in school-aged children. Australian Family Physician (2017).
YEUNG J. & al. Diagnosis and treatment of pruritus. The College of Family Physicians of Canada (2017).
WEINDINGER S. & al. Atopic dermatitis Lancet (2020).
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