湿疹は、子どもや乳児に多く見られる皮膚疾患であり、多くの保護者の悩みの種となっています。中でも注目されているのが、「乳児の食事」と「湿疹」の関連性です。最新の科学的知見をもとに、この関係について一緒に見ていきましょう。

乳児の食事は湿疹と関係がある?
「乳児の食事」と「湿疹」の関連性
これまで多くの研究が、湿疹と乳児の食事、特に母乳との関連性について調査を行なってきました。研究結果をご紹介する前に、母乳育児を選ぶか否かは、各女性およびカップルが自ら決めるべき選択であることを強調しておく必要があります。 実際、健康上の理由により母乳育児が不可能な場合もあり、この選択がそもそもできないこともあります。とはいえ、母乳が湿疹の発症に与える影響についての研究結果は、現在のところかなり 矛盾しているのが実情です。
母乳には保護効果があるのか?
いわゆる「アレルギーリスクのある」子ども、つまり第一親等の家族にアトピー性皮膚炎を患っている人がいる乳児を対象としたいくつかの研究では、少なくとも6ヶ月間母乳で育てられた場合、生後1歳および3歳の時点で湿疹の発症率が低くなることが示されました。また、1996年から2001年の間に発表された56件の研究論文をまとめた文献レビューによると、そのうち半数強が「母乳育児にはアトピー性皮膚炎に対する保護効果がある」との結論を出していました。この保護効果は、湿疹の家族歴がある子どもにおいて特に強いと考えられています。一方で、残りの半数の研究では、母乳育児に保護効果はないとされており、2件の研究に至っては、授乳による育児がむしろ湿疹を悪化させる要因であると結論づけています。
結論としては、多くの研究で、「アレルギーリスク」のある子どもに対し、少なくとも3ヶ月間の完全母乳育児がアトピー性皮膚炎の発症予防につながる可能性があると示唆されています。ただし、部分的な母乳育児では、同等の保護効果は見られませんでした。また、アレルギーリスクのない子どもに対しては、母乳の予防効果は確認されていません。
母乳が悪化要因になることも?
前述の通り、乳児の食事と湿疹の関係については、研究結果がかなり食い違っています。ある研究では、1314人の子どもを出生時から7歳まで追跡調査した結果、授乳期間が1か月延びるごとに、7歳までの湿疹発症リスクが3%増加するという結論が示されました。ただし、これを裏付けない研究も存在します。より最近発表された別の研究では、2405人の乳児を対象とし、生後1年以内の湿疹発症率について、母乳育児が有益でも有害でもない、つまり有意な影響を示さなかったと報告しています。
牛乳はどうなのか?
湿疹との関連で、牛乳はしばしば悪者として語られることがあります。実際、多くの情報源が牛乳がアトピー性皮膚炎を引き起こす可能性があると伝えています。しかし、これは正確ではありません。牛乳そのものが湿疹を「引き起こす」わけではありませんが、ある場合には症状を悪化させることがあります。
牛乳に含まれるカゼインやホエイ(乳清)といったタンパク質が、乳児の体に合わず、湿疹の再燃を助長することがあるのです。そのため、疑わしいと感じた場合には、医療機関で相談することをお勧めします。皮膚科医やアレルギー専門医といった専門家こそが、赤ちゃんの体質に合った食事指導を適切に行うことができるのです。
出典
VIDAILHET M. & al. Alimentation des premiers mois de vie et prévention de l’allergie. Archives de pédiatrie (2008).
SAURAT J. H., LACHAPELLE J. M., LIPSKER D., THOMAS L. et BORRADORI L. Dermatologie et infections sexuellement transmissibles. Elsevier Masson (2017).
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